仙台・話題の現場を見に行こう!
 変化の激しい最近の仙台で、話題になっている場所やマスコミで報道された現場を実際に行ってレポートします。

REPORT.72
仙台シネマ認定制度
撮影2009年6月上旬
 
今年から、「仙台シネマ認定制度」が創設されました。
この制度は、 仙台でロケをしたり、仙台にゆかりのある新作映画を、市が全面的にバックアップ、
映画のPR活動などを通じて仙台を全国に発信しようというものです。
第一回作品として仙台市在住の人気作家、伊坂幸太郎氏原作の映画「重力ピエロ」が選ばれ、
4月に県内で先行上映、5月末から全国で公開が始まりました。
現在、中心部ではクリスロードの映画館「セントラルホール」でロングラン上映されています。



 
仙台が舞台の小説「重力ピエロ」は、映画も全編仙台ロケで製作されました。
市内の至るところに重力ピエロのポスターが貼られ、全市をあげてのPR活動がされています。
映画化の効果で、2003年に出版された原作も120万部に迫る売り上げになりました。



 
(写真は映画「重力ピエロ」より、主人公たちが事件の手がかりを求めて歩く、壱弐参横丁)

映画の撮影には、せんだい・宮城フィルムコミッションが中心となって協力し、
市内各所をはじめ、蔵王エコーラインや大倉ダムなどの郊外でも撮影されました。



 
(写真は映画「重力ピエロ」より、ある事件の現場となる原町商店街)

一番町では、原作にはない青葉祭りの雀踊りを登場させて、仙台らしさを演出していました。



 
(写真は映画「重力ピエロ」より、主人公たちの自宅近くの坂道、八木山松波町)

伊坂幸太郎氏は、千葉県出身、東北大卒の仙台在住の作家で、
2000年のデビュー以来、その作品の多くが、仙台を舞台にしています。



 
実は、伊坂氏の小説がオール仙台ロケで映画化されたのは、重力ピエロが2作目で、
2007年公開の「アヒルと鴨のコインロッカー」が最初でした。
このときは「仙台シネマ認定制度」はありませんでしたが、撮影や広報活動に全市をあげて協力、
「仙台シネマ認定制度」のキッカケとなった作品と言えるかもしれません。



 
(写真は映画「アヒルと鴨のコインロッカー」より、主人公たちが襲う本屋。ブックスなにわ塩釜店)

伊坂氏自身、小説の舞台を仙台にする理由について「自分が住んでいる場所なので
嘘がつきやすいから。特に仙台じゃなくても成り立つ物語。」と発言しています。
この映画は当初、東京近郊で撮影しようとしていたそうですが、なかなか思うような場所がなく、
結局、仙台が一番イメージどおりだったということで、原作と同じく全編仙台ロケになったそうです。



 
(写真は映画「アヒルと鴨のコインロッカー」より、主人公たちのアパートの前の公園、泉区歩坂町)

仙台ならでは、という内容じゃなくても、原作者が生活している仙台の雰囲気、空気感などが
文章から感じられるのでしょうか。



 
(写真は映画「アヒルと鴨のコインロッカー」より、南町通のペットショップ)

また、「重力ピエロ」の森淳一監督、「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋監督が、
共に、仙台での映画撮影について、「都会の風景から自然の風景まで、短い移動距離内で
多彩な景色が揃っていて、短期間で撮影できた」とロケ地としての優位性を評価しています。
伊坂氏も、街から海や山が近い事が、物語の多様性に役立っていると言っています。



 
(写真は映画「アヒルと鴨のコインロッカー」より、仙台駅構内のコインロッカー)

原作の「アヒルと鴨のコインロッカー」は小説ならではのトリックがあり、映像化不可能と
思われましたが、映像表現ならではの手法で、トリックを見事に映画化していました。
伊坂氏も、この映画化に大変満足したようで、中村監督は伊坂氏の「フィッシュストーリー」の
映画化でも監督を務めました。ちなみに、こちらは仙台が舞台ではありません。



 
そして現在、「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」の中村義洋監督により、
伊坂氏の新作「ゴールデンスランバー」がオール仙台ロケで映画化が決定、
仙台市内の至るところで撮影の真っ最中です。
「ゴールデンスランバー」は、仙台市内で首相がパレード中に暗殺され、
その犯人にされた男の逃亡劇で、2008年度本屋大賞、山本周五郎賞に輝いた作品です。
「アヒルと鴨のコインロッカー」では、郊外や住宅街で多く撮影されましたが、
今回は、勾当台公園や定禅寺通など、中心部の様々な場所で撮影が行われます。



 
今回も、仙台市が撮影に全面的に協力するそうで、大掛かりな交通規制なども
行われるようです。原作では、東二番丁通を首相がパレードしますが、
映画では定禅寺通で撮影するそうです。



 
来年の公開にあわせて、この作品も、おそらく「仙台シネマ」に認定されるでしょう。
シティセールスには色々な方法があり、また、各地のフィルムコミッションが盛んに、
ロケ誘致を行っていますが、仙台シネマ認定制度のように自治体が積極的に映画に協力して
PRすることは全国初だそうです。ロケ地誘致に留まらず、仙台を舞台にした作品を
全国へ発信できるのも、才能ある作家が仙台にいてくれたおかげ、といえるでしょう。
文化面での東京一極集中に一石を投じる時代の流れを、仙台から起こして欲しいですね。


参照

映画「重力ピエロ」オフィシャルサイト
映画「アヒルと鴨のコインロッカー」公式サイト
映画「ゴールデンスランバー」公式サイト

楽天ブックス、伊坂幸太郎さんインタビュー
私の広瀬川インタビュー、伊坂幸太郎さん








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